コラム

コラム column

婦人科、生殖医療、不妊治療、産科の基礎知識や知っておいてほしいことなど、患者様へご説明させていただいている内容を項目別に掲載しております。

産科関連

卵巣腫瘍について

卵巣は女性特有の臓器の一つで、様々な腫瘍ができやすい臓器と言われています。
主にどのような腫瘍があるのか見ていきましょう。

良性腫瘍(卵巣のう腫)

卵巣のう腫とは、卵巣の中に脂肪や液体が溜まったやわらかい腫瘍のことです。腫瘍ができる原因ははっきりしていませんが、その大半は良性で、一定の大きさを越える腫瘍は摘出手術を行うのが一般的です。

漿液性のう腫

卵巣から分泌された漿液が溜まった状態を言います。思春期を越えた女性であれば、年齢を問わずできやすい腫瘍です。

粘液性のう腫

閉経した女性に見られる「粘液性のう腫」は、粘液がゼラチン状に固まったもので、かなり大きくなるのが特徴です。

皮様性のう腫

「皮様性のう腫」は胚細胞にできる腫瘍で、20~30代の若い女性に多く見られます。毛髪や歯などの組織を含んだドロドロの物質が卵巣に溜まった状態で、片方だけでなく両方の卵巣に生じる場合もあります。

チョコレートのう腫

子宮内膜症が卵巣内に発症する「チョコレートのう腫」も、20~30代の若い女性に多く見られる腫瘍です。生理の度に出血した血液が卵巣に溜まり、のう腫が作られます。

境界悪性腫瘍

境界悪性腫瘍とは良性と悪性の中間の性質をもった腫瘍で、組織判断でどちらか確定します。悪性腫瘍に比べると良くなる可能性が高く、手術によって完治することも多いです。

悪性腫瘍(卵巣がん)

卵巣腫瘍の約90%は良性ですが、残りの10%は悪性だとされています。
触ると硬い悪性腫瘍は、卵巣で排卵の度に組織がはがれ、修復される際に誤った形で修復されたことが原因だと考えられています。ただ、卵巣悪性腫瘍は抗がん剤が効きやすいがんの一つです。そのため、患者様の状態に合わせて化学療法を行います。

卵巣は腹部の奥に位置し、病気になっても自覚症状が現れにくいことから「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
そのため、定期的に卵巣腫瘍検診を受けることが大切です。


また、以下のような症状は卵巣に異常がある可能性があります。もし心当たりがあるようでしたら、ご来院ください。

  • 体重が増えたわけではないのに、最近下腹部が膨らんできて目立つ
  • 下腹部に痛みや腰痛があり、触るとしこりのような膨らみがある
  • 生理痛がひどくなった、出血量が急に増えた
  • 最近になって頻尿や便秘をするようになった