コラム

コラム column

婦人科、生殖医療、不妊治療、産科の基礎知識や知っておいてほしいことなど、患者様へご説明させていただいている内容を項目別に掲載しております。

生殖医療・不妊治療関連

生殖医療・不妊治療関連

生殖医療の知識や受けられる環境

生殖医療とは新しい医療を用いた不妊治療のことであり、治療を行うためには専門的な知識はもちろん高度な技術が必要です。一つは、体外受精・胚移植による未受精卵を体外に取り出して精子と共存させる治療法です。顕微授精は細い針を用いて卵子の中に精子を入れる治療法であり、凍結胚・融解移植は体外受精の際に得た胚を凍らせてとっておき、その胚を溶かして移植する治療法です。

こうした治療法はすべて生殖医療に分類され、必要な設備や技術によって人工的な妊娠を目指します。生殖医療を受けられるのは、これまでは先端的な医療が可能である大学病院などが主でしたが、技術が安定し、器具・試薬が一般化した近年では、専門のクリニックでも受けられるようになりました。当院では最新の機器を導入し、より良い医療を提供できるように努めています。

生殖医療・不妊治療関連

不妊症に陥りやすい生活習慣とは

高度な生殖医療を行う当院では、不妊検査・治療を通して、お二人が幸せになれますようお手伝いいたします。こちらでは不妊症に陥りやすい生活習慣について紹介していきますので、参考にしてください。

喫煙

煙草は血流を悪化させて卵巣機能の低下を招くため、妊娠したいとお考えの女性は喫煙を控えなければいけません。また男性の場合も、喫煙は精子の運動能力を低下させてしまい、卵子までたどり着くことができなくなってしまうため控えたほうがいいでしょう。
他にもEDの原因になったり、DNAの破壊にもつながったりしてしまうので、男女ともに禁煙することをおすすめします。

過度な飲酒

適度なアルコールであれば不妊への影響は少ないですが、飲みすぎは妊娠率を低下させてしまいます。
男性の場合も過度な飲酒が精子の量を減らしたり、質を低下させたりするため注意しましょう。毎日アルコールを飲む習慣がある方も、できれば週に2日は休肝日を設けてください。

乱れた食生活

私たちの身体は食事によって栄養を摂取するため、乱れた食生活では栄養バランスも乱れ、不健康な身体になってしまいます。忙しいからと食事を抜いたりせず、毎日なるべく同じ時間にバランスの良い食事を摂るように心がけましょう。

冷え性

身体の冷えは血流を悪くするだけでなく、子宮や卵巣は冷えに弱いため生殖機能の低下も招いてしまいます。
また、冷えは妊娠した後の胎児にも悪影響を及ぼすため、早めに改善することが大切です。身体を温めることで子宮や卵巣の機能は高まるので、湯船に浸かったり、ホットドリンクを飲んだり工夫しましょう。

長時間のサウナやお風呂

女性は身体を温める工夫が必要ですが、男性は温めすぎに注意です。
なぜなら男性の睾丸で作られた精子は熱に弱いからです。精巣が体温ほどの高い温度になると、精子の数の減少や運動性に支障をきたす恐れがあります。精子のDNA損傷の原因になるとも言われているため、長時間サウナに入っていたり、熱いお風呂に毎日入ったりしている方は注意が必要です。
また、一日中座りっぱなしという方も、一時間に一回は立ち上がって下半身の温度上昇を抑えましょう。

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不妊症の原因として考えられる障害

不妊の原因は人によって様々であり、女性に原因がある場合、男性に原因がある場合、または両方に原因がある場合などあらゆる可能性が考えられます。
こちらでは女性側の原因として考えられる3つの障害についてご紹介します。

排卵障害

妊娠するためには排卵することが大前提ですが、自力で排卵できない状態を「排卵障害」と言います。
排卵障害の原因は様々で、生活習慣の乱れからくる低体温、運動不足により十分な血液が卵巣に運ばれないことで引き起こされる卵巣機能の低下、ホルモンバランスの乱れや多嚢包性卵巣によるものなどが考えられています。年齢が若くても排卵障害になることがありますので、注意が必要です。

子宮着床障害

子宮内に何かしらの原因があり、受精卵が子宮内膜に着床しない状態を「子宮着床障害」と言います。
ただ、この着床メカニズムは現在の医学でも解明できていない部分が多いのも事実です。
そんな中でも、受精卵の着床確率を下げる原因として考えられているのが、黄体機能不全によるもの、子宮内膜の癒着によるもの、子宮筋腫によるもの、子宮奇形によるもの、子宮内膜ポリープによるもの、子宮内膜炎によるものなどです。

卵管障害

卵管が詰まってしまい、受精卵が通れない状態のことを「卵管障害」と言います。女性の身体は排卵前になると、精子を迎えやすくするために卵管の中にある粘液を増やして粘性を下げます。しかし炎症や腫れなどで癒着が起き、卵管が狭くなると受精卵が移動できずに不妊の原因となってしまいます。
卵管は2本あるため、どちらか1本が正常であれば自然妊娠も可能ですが、粘液栓ができたり性感染症になったりして2本とも閉塞していると、自然妊娠は難しいと言えるでしょう。ただ軽い詰まりであれば、カテーテルを通して炭酸ガスや水、造影剤を送りこんで検査をする際に取り除かれる場合があります。

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男性不妊の原因

不妊の原因が女性だけとは限りません。男性不妊も増えているからこそ、一定期間妊娠がなければお二人で検査を受けることをおすすめします。

造精機能障害

男性不妊に悩む方の90%以上は、造精機能障害に当てはまると言われています。この造精機能障害には、精子の数が著しく少なくなる乏精子症、精液の中に精子が確認できない無精子症、精子の運動率が32%以下の精子無力症などがあります。

おたふく風邪

ほとんどが子どもの頃にかかるおたふく風邪も、成人男性がかかると睾丸炎(精巣炎)を引き起こして不妊になる可能性があります。睾丸炎は。炎症と痛みを伴い、精巣の中の精子を作る細胞が死んでしまうため、おたふく風邪にまだかかっていない男性は注意が必要です。

飲酒・喫煙

喫煙は、精子の数や運動率を下げるだけではなく、勃起不全になる確率が高くなると言われています。過度な飲酒も精子を劣化させる原因となるため、妊活期間中はできるだけ控えるようにしましょう。


子宮の腫瘍として、子宮筋腫と子宮肉腫が挙げられます。どちらも子宮の腫瘍ではありますが、一番の大きな違いは良性か悪性かという点です。子宮筋腫は良性の腫瘍であるため、命に関わることはないとされています。

しかし、子宮肉腫は悪性の腫瘍であることから、そのままにしておくとリンパ節転移や肺転移などを引き起こす可能性がありますので早期発見による手術が必要です。子宮筋腫と子宮肉腫の判別は難しく、子宮筋腫だと思って細胞を調べてみると、実は子宮肉腫だったというケースも少なくありません。

子宮筋腫と子宮肉腫の原因は未だにはっきりと解明されていませんので、定期的な検診を受けて予防や早期発見を目指しましょう。

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不妊検査のタイミング

なかなか妊娠に至らない場合、「どのくらいの間妊娠しなければ不妊症なんだろう…」と悩むことでしょう。一般的に、排卵日とその前2日くらいを狙って性交渉をすると、89%が6周期までに、99%が12周期までに妊娠することがわかっています。

しかし、近年では晩婚化が進み女性の社会進出も著しくなっていることから、初めて妊娠する年齢が高くなっていて、日本産科婦人科学会によって不妊症の定義が「2年」から「1年」に変更されました。

妊娠を望んでいても1年妊娠しなければ、不妊検査を検討しましょう。また、基礎体温は記録しておくと便利です。月経周期によって検査内容が変わるため、検査や問診がスムーズになるだけではなく、自身の卵巣機能のサイクルを知るためにもおすすめです。

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男性の不妊治療について

不妊で悩む方は女性だけでなく、男性の方にも起こる悩みでもあります。男性側の原因で起こる不妊は、どのような治療が行われるのかご存知でしょうか。男性不妊は、原因に応じて“内科的治療”と“外科的治療”が行われます。

内科治療とは薬物療法のことであり、機能性障害によって起こる問題をサポートします。射精時に精液が膀胱に逆流する逆行性射精は抗うつ薬を用いた治療を行い、不妊原因の一つである勃起不全(ED)も治療薬を用います。

外科的治療とは手術が必要な治療であり、精巣精子採取術や精路再建手術などがこれに当たります。男性が受ける不妊治療は、原因によって様々な方法があげられますので、まずは原因を追求するために必要な検査やカウンセリングを受けることが大切です。